「マニュアルにない交流に必要なのがホスピタリティなんです」
天気がいい日には屋外でセッション
清里フォトアートミュージアム(K・MoPA)
Oracle(オラクル)会議 | |||
1998年11月7日の午後2時30分過ぎ、世界22カ国から集まった一団が清里フォトアートミュージアム(K・MoPA)に到着した。 | |||
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そう語るのは、K・MoPAの小川さんだ。小川さんは、事務局として、今回のオラクル会議の全体進行を担当してきた。いわば陰の責任者だ。 しかし、多様な価値観を持ったお客さまの前でに立った瞬間、それはできないなと実感したという。 | ||
「全員に合わせるのは無理なんです。あそこに行きたい。あれが欲しい。わたしだったら、それくらいがまんして一緒に行動するのに……。そんなことばかりでした。結果的に分かったのは、あらかじめ全てを準備しておくのは不可能だということでした。基本的なサービス以外は、個別の問題解決だとよぉ〜く分かりました。そのときに、必要なのがホスピタリティなんです」 コミュニケーションによってこそ、参加者の満足は高まる。このことは、会議の中でもいえることだし、会議以外でもいえることだ。その際のキーワードが、ホスピタリティといえるのだ。 オラクル会議自体、非公開で行われるまさに参加者の交流を目的としたコンベンションであり、そんな交流から生まれる相互の信頼関係によって、実際のビジネスが生まれていくという。 | |||
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こう話してくれたのは、学芸員の山地さんだ。 「うちでこういう展覧会を企画しているんだけど誰がいい」「そういう企画だったら、あのカメラマンがいい。うちの美術館にこういう作品があるからお貸しする」「そういう企画展だったら我美術館でも開催したい」 そんなやりとりが休憩時間に行われ、実際の展覧会が決まっていったという。 | ||
英語で、交流のことを cultural exchange
文化の交換というが、小川さんは、ゲストをお迎えする立場で、地域文化について調べたという。 埼玉県生まれの小川さんにとっては、地域の特産品や観光資源を再確認するおもしろい機会でもあった。 太鼓や舞踏、日本酒やほうとう。 |
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田舎のちょっとした食べ物など、小川さんにはなんて素敵な日本がここに有るんだろうと思ったという。 「先日、アメリカのサンディエゴ写真美術館のアーサー・オールマン館長から、この秋、仲間を連れて清里へ行くという連絡が入りました。清里が気に入ったと言うんですね。その際は、ぜひ日本酒の蔵に行きたいと連絡がありました。実は、今回の日程に入れておいたんですが、日本酒の蔵でご不幸があって見学できなかったんです」 やはり、一つの文化の中にいるとその特徴が見えづらいらしい。 | |||
うれしい思い出 | |||
11月10日、清里での最終日のこと。小川さんは、朝、バスで予定の時間にホテルに迎えに行く。何とか全員そろって出発したが、途中『八ヶ岳高原大橋』からの八ヶ岳の姿を目にした一同は、一斉に叫ぶ。 「バスヲ停メテクダサイ!写真ガ撮リタイデス!」 小川さんは困り果てる。時間がないのだ。 「すみません、もうすぐセッションが始まるんですけれど…」 「Oh No!ソンナコトハ後デモイイ。今ノ八ヶ岳ヲ、撮リタインデス!」 そこで、バスを停め、全員で大撮影大会となる。それは、今までバラバラだったみんなが、初めて同じ行動をした瞬間でもあった。
「八ヶ岳がすばらしいコミュニケーションをしてくれました。コミュニケーションは、何も人間同士だけでするものではないんだと実感しました」 自然と人間との間のコミュニケーションを目の当たりにして、小川さんは感動したという。そんな八ヶ岳の景観の素晴らしいコミュニケーション力に支えられ、清里でのオラクル会議は、成功のうちに幕を閉じたのであった。 |