欧州挑戦 スタート地点に
日本固有のブドウ品種
この夏、英国・ロンドンの高級日本食レストラン「Roka(ロカ)」は甲州ワインを店のワインリストに追加した。ソムリエのアレッサンドロ・マルケサンさんはいう。「甲州ワインはシンプル、軽い飲み口でほのかに香る。ある程度の客を魅了するだろう」
追加するのは、甲州市勝沼町等々力のワイナリー「中央葡萄(ぶどう)酒」が醸造した「グレイス甲州」の2種類。7月に船積みされ東京港を出た2000本が3日にもロンドンに陸揚げされる。
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甲州ワインの原料となるブドウ「甲州」が8月、「葡萄・ワイン国際機構」(OIV、本部・パリ)に「Koshu(甲州)」として品種登録され、世界の人気品種カベルネ・ソービニヨンなどとともに登録リストに名を連ねた。
欧州などのOIV加盟国で販売するワインのラベルには、登録品種しか表示できない。輸出した2000本は初めてラベルに「甲州」の文字を冠して欧州市場に挑む。
中央葡萄酒の4代目社長、三沢茂計(しげかず)さん(61)は「山梨に脈々と伝わる甲州ワインは本場ヨーロッパのワインと肩を並べる力があると信じてきた。ヨーロッパが日本食ブームに沸く今はチャンスだ。市場を獲得したい」と意気込む。